資料
請求

世界で活躍する創造的リーダーの育成を目指して

2025.06.12

国際文化交流学部

時安 邦治 学長、畠山 圭一 学部長

国際文化交流学部.jpg

2026年4月、学習院大学は、学習院女子大学国際文化交流学部を6番目の学部(共学)として統合します。これまで培ってきた同学部の歴史、期待される未来について、現学習院女子大学の時安邦治学長と国際文化交流学部の畠山圭一学部長に話を聞きました。

※国際文化交流学部は、設置認可申請中であり、今後、計画が変更となる可能性があります。(2025年6月)


築きあげた教育的資産を新たなステップへ

学習院女子大学
時安 邦治 学長

1992年、大阪大学人間科学部人間科学科卒業。1999年、同大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。2012年、学習院女子大学国際文化交流学部教授に就任。2025年より学長を務める。主に文化とシティズンシップをめぐる社会理論などの研究に取り組んでいる。


学際性、国際性、実践性 三位一体の学びを

学習院女子大学 国際文化交流学部
畠山 圭一 学部長

1980年、早稲田大学教育学部理学科数学専修卒業。1992年、学習院大学政治学研究科博士後期課程満期退学。ジョンズ・ホプキンズ大学研究員、メリーランド大学客員研究員、ジョージ・ワシントン大学客員研究員などを経て、2002年に学習院女子大学国際文化交流学部教授に就任。2023年より現職。専門は、国際政治、国際関係論。


畠山 圭一 学部長(以下、畠山)
国際文化交流学部は、1998年に設置されました。当時の冷戦後の世界で日本がどのような役割を果たしていくべきか、そのためにどのような教育がなされるべきかを明確に打ち出そうとした斬新な考えのもとに設置された学部です。それ以来、常に時代の要請に応える新たな人材育成のため進化を続けています。

時安 邦治 学長(以下、時安)
設置当初から、留学を積極的に推奨するなど、国際文化交流学部の名に恥じない教育を行ってきました。また、人文・社会科学から自然科学まで幅広く学ぶ充実したカリキュラムで、広い視野を養います。2023年には新時代を見据えてデータサイエンス教育プログラムを新設するなど、先進的な取り組みに挑戦する姿勢も現在まで変わっていません。

畠山
国際社会で活躍できるリーダーを育てるために必要不可欠な科目が多数設置されている点は特筆すべきところです。ほんの一例ですが、世界の中枢であるワシントンDCに赴き、国務省などの政府組織や世界銀行、IMFなどの国際機関、さらにスミソニアンなどの学術文化機関で、局長や理事から直接、講義指導を受け、国際的リーダーの心得を体得する「国際文化交流演習(ワシントンセミナー)」という科目があります。また、国家間の儀礼上のルールについて学ぶ「国際儀礼」という科目では、その外交上の意義について、外務省などの儀典の専門家から教わります。国際文化交流学部は、学際性、国際性、実践性を重視する学部ですが、こうした学びはまさにそれを体現するものであり、国際的リーダーの育成に資するものだと思います。

時安
国際文化交流学部では多くの学生が留学を経験してきました。実際にグローバルに活躍している卒業生も数多くいます。国際感覚を養う専門性の高い科目はこれからさらに必要性が高まることでしょう。その一方で、書道、華道、茶道、香道、有職故実など、自国の伝統文化を実践的に学ぶ「伝統文化演習科目」のような科目もあります。自国の文化を理解することは他国の文化に敬意を払うことにつながります。文化に対する理解を深めるには、知識だけでなく身体的な経験として学ぶことが極めて重要です。

※ 古来の先例にもとづいた、朝廷や公家、武家の行事や法令・制度・風俗・習慣・官職・儀式・装束などのこと。また、それらを研究すること。

畠山
例えば、茶道も作法を学ぶだけでなく、茶道の歴史や思想も学びます。国際的な場で自国の伝統文化について、表層的な内容だけでなく、相手の文化的文脈の中で理解してもらえるような深い説明ができる能力を持った人材を養っていく。そのための非常に大切なカリキュラムです。

時安
統合による最も大きな変化のひとつは共学化です。我々が女子大学として蓄えてきた教育的資産を存分に活用していきたいと考えています。女性に向けた教育に力を入れるということではありません。むしろ、家政学のように家族やプライベートな領域に関わるがゆえに、従来、主に女性が学び、継承していくものと考えられていた学問分野を男性も積極的に学ぶべきであると考えています。例えば、「母体の健康と育児」という科目がありますが、父親の育児への参加が当たり前になった現代では男子学生が学ぶ意義も大きいと思います。本来、学問に性差はないはずです。ジェンダー平等が重視される今こそ、女子教育が築いてきた成果を男子学生にも還元していく必要があります。

畠山
本学部の目的は、学則にあるとおり「国境・民族・文化をこえ、人類の平和と文化の発展を希求し、地球的視野から人類が歩んできた過去及び進むべき未来を研究教授し、その深奥を究めるとともに、社会と手を携えつつ、人格の陶冶と情操の涵養を図り、時代を先導する創造的人材を育成する」ことです。学習院は歴史的にも"国際的な創造的リーダー"を輩出してきましたが、国際文化交流学部がその伝統をより強固で明確なものにすると期待しています。

時安
教育だけでなく研究活動においても、相乗効果が現れることが期待されます。学習院大学の既存の学部と国際文化交流学部の交流が活発化することで共同研究など新たなプロジェクトが始まる可能性もあるでしょう。国際学・環境学研究所といった研究組織もありますので、ぜひ他学部とも連携していきたいと思います。

畠山
学習院大学には優れた学術的、文化的、伝統的資産の重厚で豊富な基盤があります。国際文化交流学部が持つ他には真似できない独特なカリキュラムに裏付けられた実践的な教育が、学習院大学の培ってきた高度な学術研究の成果と融合することで、より一層の飛躍的な発展が望めると考えています。

時安
学生も教員も目白キャンパスと戸山キャンパスを積極的に行き来してほしいですね。学生は課外活動にもぜひ参加してもらいたいです。戸山キャンパスはコンパクトですが、1学部からなるキャンパスとしては大変充実した設備をもっています。インターネット環境も整っていますし、十分な蔵書数の図書館も設置されています。

畠山
戸山キャンパスの魅力は、その静けさです。新宿と池袋という大都市に挟まれた立地でありながら、門を一歩くぐれば別世界のように落ち着いた学びの環境があります。学生には、静謐な戸山キャンパスと清爽な目白キャンパス、どちらも存分に活用してほしいと思います

時安
今回の統合により、学習院大学の新学部となった国際文化交流学部がさらに発展していくことは間違いありません。そんな変革の時期だからこそ、国際社会で活躍したいという強い意志を持った人をぜひ迎え入れたいと思います。

畠山
現代の世界情勢は流動的で先が見えません。グローバル化のひずみが世界各地で現れている中、課題解決の知恵を持ったリーダーが望まれています。国際文化交流学部はそうしたリーダーの育成に最適な教育環境が整っています。創造性を発揮して世界に貢献したい。そんな志を持つ学生ならきっと満足のいく学びができるはずです。

※所属・肩書等は取材当時のものです。