経済学科|経済学的な視点と社会で活かせる素養を身につける
2020.06.05
椋 寛 教授、経済学科3年
STUDENT'S VOICE
経済学的な視点と社会で活かせる素養を身につける
M.Kさん
東京都・國學院高等学校出身
2年次に履修した「国際経済学」の授業で、ミクロ経済学的な視点から日本や外国の貿易政策を捉えることなどに興味をもち、さらに深く学びたいという想いから、国際貿易論をご専門とされる椋寛先生のゼミを選択しました。現在このゼミで、私はお菓子の栄養価に着目して、世界の飢餓問題の解決策を探っています。調査を進めるなかで、一見関連性のないように感じる途上国の飢餓問題と肥満問題の深刻化に実は結びつきがあることを知るなど、たくさんの発見がありました。また、ゼミではプレゼンテーションやグループでの論文作成の機会が多くあるため、自分の考えを伝える力や協調性など、社会に出るうえで必要となる素養も養われていると感じます。
ABOUT SEMINAR
人気のiPhoneは、いったいどこの国のもの?
経済の複雑なメカニズムを読み解き実証する学問
外国人労働者の日本への流入によって、「雇用が失われる」とよく言われますが、実は新しい仕事が生まれ、新たな雇用が創出されるという分析もあります。このように経済をめぐるひとつの現象の裏で働く複雑なメカニズムを読み解き、データを使って実証するのが経済学です。なかでも、国と国の間のモノやサービスの取引に注目する国際貿易論が私の専門です。
人気のスマートフォン「iPhone」は、どこの国の製品でしょうか? Apple社の製品だから米国と答える人が多いと思いますが、Apple社が提供しているのは最初のアイディアやプログラムなどの設計図であり、その中身は日本企業のチップや韓国企業のディスプレイ、そのほかの部品は欧州のものも使われ、さらに実際に組み立てる工場は中国やブラジルにあります。それらの国々をめぐり巡って、最終的に世界中の消費者の手元に届いているのです。これは「グローバル・バリューチェーン」と呼ばれる、最近のグローバル化の波のひとつです。国際貿易を通じて企業の業務が分割され、効率よい工程や材料の調達を実現する仕組みが世界に拡がっています。
知的な「貿易活動」でレベルアップを目指す
ゼミでは、このような国家間の輸出や輸入(国際貿易)、人の移動、企業の海外進出(直接投資)などの「グローバル化」をキーワードに、現実の国際経済問題に関して議論し、グループ論文の作成を通じてその解決策を考えていきます。
国際貿易というと、国家間で競争して勝ち負けを決める活動のように思われるかもしれません。しかし、実は各国の個性を活かし役割分担することで、お互いにメリットを生み出すというのが貿易の本質であり、優劣を競うものではありません。私のゼミでも同様に、各人のよいところをほかのゼミ生に「輸出」し、ほかのゼミ生のよいところを「輸入」するといった、ゼミ生同士の知的な「貿易活動」によって、互いに刺激し合いながら成長してほしいです。
椋 寛 教授
横浜国立大学卒業。東京大学大学院経済学研究科修了、博士(経済学)取得。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、本学に赴任。ブリティッシュ・コロンビア大学客員准教授も経験。2011年4月より現職。
※所属・肩書等は取材当時のものです。