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数学科|ゼミの仲間とともに江戸の数学「和算」に挑む

2020.06.05

理学部 ゼミ紹介

岡本 久 教授、数学科4年

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STUDENT'S VOICE

ゼミの仲間とともに江戸の数学「和算」に挑む

K.Yさん

新潟県・県立新潟高等学校 出身

今まで触れることのなかった江戸時代の数学「和算」に魅力を感じたこと、新しいものに挑戦したいと思ったことから、岡本久先生のゼミに入りました。今でこそ様々な定理や定義がありますが、それらがなかった江戸時代の人たちはどのように図形の問題などを解いていたのか、それを想像しながら『算法天生法指南』という問題集に取り組んでいます。最低限の値で答えを導くことができたときには達成感がありますし、昔の人の考え方を知ることのできる面白さもあります。入学前は大学のゼミというと、研究室にこもって一人で黙々と問題と向き合うイメージでしたが、岡本先生のゼミは仲間と一緒に問題を解き合い、意見を交わせるなど、とても有意義な場です。

ABOUT SEMINAR

江戸時代の数学「和算」の難問に挑む

和算を通じて、想像力を養う

江戸時代の数学はどのくらいのレベルだったと思いますか? 当時は日本独自の数学として「和算」が確立されていましたが、デカルトの円定理なども用いる和算問題が考案されるなど、非常に高いレベルのものでした。その問題の多くは、現在の高校数学の知識で理解できますが、方程式は極めて複雑で、簡単に解けるものではありません。学生によってはコンピュータで解いて初めて納得できた、というケースもありました。過去には、本学の入試で和算を元にした問題が出題されたこともあります。

数学史のゼミでは、会田安明という和算家の『算法天生法指南』という資料を読み、和算の難問に挑戦しています。学生は立式に苦労しつつも「この方法は?」「こっちの数式の方が美しい」など、ほかのゼミ生との議論を通じて"からくり"を解き明かしています。日々の議論によりコミュニケーション能力が向上し、加えてこのゼミでは和算の図形問題などをコンピュータで再編成するため、その過程で幾何学的能力も磨かれるでしょう。

パソコンもない江戸時代の人たちはどのような手法で問題をつくり、どう解いていたのかなどと想像力を働かせることを大切にし、独創性の高い証明に取り組んでいます。

多様な分野で求められる数学を用いた"流れ"の解析

数学史とは別に数値解析学のゼミを担当していますが、そこでは物理現象の数値シミュレーションを行っています。例えば、目玉焼きにかけたソースや醤油の流れ方も解析できます。流体の状態などを解き明かす流体力学を理論的に研究する際には、数学や数値計算を用いた解析が重要です。そして、競技用水着の開発や自動車のデザインなど、多様な分野で"流れ"の解析は求められています。

ひと昔前であれば、数学は実社会に応用できない分野と言われることもありました。しかし、数学的素養は現在様々な場面で求められ、本学科の学生たちも卒業後、それを活かして活躍しています。

岡本 久 教授

東京大学理学部数学科卒業。東京大学教養学部助教授、京都大学数理解析研究所助教授・教授を経て2017年より現職。日本応用数理学会会長。専門:流体力学・数学史。

※所属、肩書等は取材当時のものです。