数学科|古代から展開されてきた理論を納得がいくまで考え抜く
2024.06.10
中野 伸 教授、数学科4年
教員に聞く研究知
中野 伸 教授
[専門]代数的数論
整数論という分野の中では「素数」の概念が重要となっています。その素数そのものや素因数分解の理論を深く掘り下げるのが私の研究室のテーマです。素数は、その振る舞いが古代ギリシアのユークリッド原論で言及されていたり、素因数分解の困難性が暗号化に利用されたりと、古典理論から現代的応用まで幅広い話題を提供しています。古くから研究されている理論が、現在の社会生活にどのようにかかわっているのかを、表面的にではなく深い学問上の理念として理解することはとてもエキサイティングです。確固とした数学の基礎的素養はどんな分野にも活きるもの。学生たちには幅広い応用を目指して、理論を学んでほしいと思います。
学生に聞く統合知
R.Mさん
埼玉県・西武学園文理高等学校 出身
代数的整数論について、英語文献を題材にして研究しています。有益な文献を探したり、行間に省略された内容を検討したり。文献に間違いを発見することも稀ではなく、逐一、論理を確認しながら研究を進めています。4年間を通して今まで学んできた「数学」の解像度が高まり、数学的な構造の見方や数式の美しさといった視点を得られたほか、物事を多面的に見て考えを発展させる力も養えました。現在の研究分野をより深めたいので、卒業後は大学院に進学予定。更に将来は数学的な問題解決能力を活かせる仕事に就きたいと考えています。理解できない難問に対峙したときに自分の頭で考え抜き、納得できる形に変える力は、実社会においても大いに役立つと確信しています。
専門分野を究める
中野ゼミ
研究室のテーマは「整数論」。20世紀前半までに確立された古典的な理論を修得した後、古典理論の更なる探究や、暗号理論・符号理論への応用を目指します。
※所属・肩書等は取材当時のものです。