生命科学科|創薬のカギを握る微生物の遺伝子を探究
2024.06.10
尾仲 宏康 教授、生命科学科4年
教員に聞く研究知
尾仲 宏康 教授
[専門]微生物科学
私たちが普段病院で処方される抗生物質は、実は自然界の放線菌が細胞内でつくったものを参考にしています。そのため、放線菌の遺伝子解析や遺伝子組換えの研究は、創薬の仕組みの解明や新しい抗生物質の創出につながります。実験では、寒天培地やフラスコの中で放線菌を培養することによって、放線菌が作る抗生物質がほかの菌の生育を阻害する様子を実際に観察したり、抗生物質の化学構造を明らかにします。これらの実験を通して、ミクロの世界の住人の素晴らしい能力を身近に感じられるでしょう。研究室には、抗生物質の分子量測定に必須となる最新鋭の実験機器もそろえており、国内外の有力大学と同様の充実した研究環境で卒業研究に取り組めます。
学生に聞く統合知
A.Fさん
千葉県・芝浦工業大学柏高等学校 出身
放線菌が菌糸状に生える際、酸化ストレスを受けると菌糸の分岐が増加することがわかっており、私はその分岐にかかわる遺伝子を研究しています。遺伝子の反応機構が明らかになれば、自然界での放線菌の生存戦略を考察する手段となると考えています。基本プロトコルにない実験を行う際は先行研究を紐解いて計画を立てなければいけないため、リサーチ力が養われました。また、実験が上手くいくまで何度も挑戦する粘り強さや、同時進行で物事を進めるスケジュール管理能力も身についたと感じます。卒業後は大学院に進学し、現在の研究をより専門的に深めていく予定です。将来は大学で培った経験や技術を活かし、社会に貢献したいと考えています。
専門分野を究める
尾仲研究室
目に見えない微生物には、ユニークな特徴を持つものが多数存在します。中でも薬をつくる微生物「放線菌」に着目し、その遺伝子の解析から創薬のヒントを探ります。
※所属・肩書等は取材当時のものです。