思考を止めることなく変化し続ける日本産業・経済を支える
2026.06.17
栗山 花耶子
栗山 花耶子
KURIYAMA Kayako
株式会社日本政策投資銀行
2016年度 法学部法学科卒

私×学習院大学
部長として考えた、みんなが前向きに取り組めるチーム作り
組織を動かすには、メンバーそれぞれが主体的にかかわれるように当事者意識を持ってもらうことが必要です。チアリーダー部には経験者も未経験者もいましたし、それぞれに得手不得手があります。私は部長として誰も取りこぼさないチームを作ることを目標にしていました。同期みんなの特長を活かして、私はモチベーションが低くなりつつある部員のフォローを、同期にはチームの士気を高める役割を任せ、バランスの良い運営で心理的安全性の高いチームを実現。こうした経験を通して、当事者意識や協調型リーダーシップ、幹部間の連携の重要性を学びました。これらは、社会人になっても組織づくりの面でとても役立っています。
株式会社日本政策投資銀行(以下、DBJ)。前身は、1951年に設立された「日本開発銀行」だ。終戦間もない日本の復興には「重厚長大産業」の育成が不可欠であり、エネルギー、鉄鋼、造船といった産業分野に対して重点的に資金を投入するため、民間金融機関を補完する役割を担うことを目的に設立された。2008年に民営化された政府系金融機関である同行は、高度な金融手法を駆使して、社会インフラの整備のような大規模な事業や、イノベーションに取り組む企業に長期的な投融資を行うことで、日本の産業発展と地域経済の成長を支えている。法学部法学科を卒業した栗山花耶子さんは、その理念に心を打たれ、入行を決めた。
「『長期性』、『中立性』、『パブリックマインド』、『信頼性』というDBJの4つのDNAに強く共感しました。中でも、『中立性』という言葉が個人的にフィットしました。金融業界を中心に就職活動をしていたのですが、短期的な収益目標にとらわれるのではなく、政府系金融機関として官と民の結節点となる中立的な役割を果たし、長期的視点で企業・社会の課題解決に取り組めるDBJは特に魅力的でした。スケールの大きい仕事に携われることも魅力のひとつです。例えば、当行は東京スカイツリーの建設といった誰もが知る大型事業のファイナンスを担当したり、脱炭素の動きに対応するエネルギー関連企業を支援したりするなど、世の中の大きな動きと連動しながら業務を進めています。当行はB to Bがメインであり、一般的にあまり名前を知られていないかもしれませんが、世の中が変化していく中で、日本産業・経済を裏側で支える縁の下の力持ちのような存在であることにも面白さを感じました」
DBJでは、さまざまな部署を経験する戦略的ジョブローテーションによる人材開発とキャリア形成を行っている。栗山さんはこれまでに、法務・コンプライアンス部、金融法人部、人事部新卒採用チーム、人事部研修チームの4つの部署を経験してきた。
「広く社会に貢献したいという目的を持って入社しましたので、多様な職務を経験することで、その部署ならではのスキルを身につけることができ、自分自身の総合力が高まっていると感じています。また『挑戦』と『誠実』という価値観を大切にしているDBJには、挑戦したい人の背中を押してくれる社風があり、若手のアイデアを積極的に採用してくれることもやりがいにつながっています。現在の人事部研修チームでは、職員向けのキャリア形成支援の企画・運営を手がけています。従来の研修では、入行して間もない職員が具体的なキャリアをイメージしにくいという課題がありました。そこで、先輩職員に自身のキャリアややりがいを語ってもらう座談会を企画したところ、参加者からはジョブローテーションに対する不安が払拭されたというポジティブな意見が多く、狙い通りの効果を実感できました。それを受けて、今後も定期開催されることが決まりました。自分のアイデアをオーナーシップを持って形にできることも今の仕事の醍醐味です」

課題の解決には、その原因や構造を分析する力が必要だ。また、アイデアを実行に移すには、自身の考えを相手にわかりやすく伝え、周囲を巻き込む力も重要になる。栗山さんはそうしたスキルの基礎を大学時代に身につけることができたと語る。
「社会の変化が激しい今の時代において、自分の判断軸を持つために、まずは社会の枠組みである法律を学ぼうと法学部への進学を決めました。学習院大学は少人数制の授業も魅力で、事例問題を扱う民法のゼミでは、学生同士でディスカッションを繰り返しました。その中で培われたのが、問題分析力と論理構築力です。民法上の争いを公平な解決に導くためには、自身の主張を相手や第三者に伝えて納得してもらわなければなりませんが、それにはまず相手の主張を理解し、問題の本質を正確に把握する必要があります。学生時代に相手の目線に立って物事を理解する力や意識を養えたことは、現在の仕事でも大いに役立っています」
栗山さんは在学中、課外活動にも力を入れ、4年間、応援団チアリーダー部に所属して活動した。
「入学した時、チアリーダー部で活躍する先輩方の明るくはつらつとした姿や、穏やかで温かみのある人柄に触れて憧れを抱き、私も4年間の学生生活を通じて先輩方のような人間に成長したいと思い入部を決めました」
学習院大学のチアリーダー部は、パフォーマンスを披露してその完成度を競う競技チアリーディングと、運動部を応援する応援団としての活動のふたつを軸としている。競技チアリーディングは究極の団体競技と言われるように、一歩間違えれば命の危険を伴うスポーツ。そのため、週5日のハードな練習が続いた。
「学業との両立は大変でしたが、仲間と協力しながら乗り切りました。競技チアリーディングで難度の高い技に挑戦するには、チームの仲間との信頼関係が大切です。そのため、相手の目線に立って考え、言葉を選びながらコミュニケーションをとることで協調性を養いました。4年次には部長に就任。多様なバックグラウンドや価値観を持った約50名もの部員をまとめるのは大変でした。練習や大会で失敗した経験もありますが、その度に、いかに円滑にコミュニケーションできる環境を作るか、それによりいかにチームとして質の高いアウトプットができるかを熟考。チアリーダー部の4年間は大きな人間的成長に繋がったと実感しています。私が理想としていた先輩方の姿に少しでも近づけていたら嬉しいです」
栗山さんは、自身の経験を生かし、DBJという組織をより強くするために、今後は経営企画等を手がけるコーポレート部門に携わることや、グループ会社へ出向し、異なる組織で経験を積んで視野を広げたいという希望もある。
「私が仕事に取り組む際のモットーのひとつが、『思考を停止させず、常に自分の意見を持って創意工夫する』ということです。当行は設立当初から、世の中のニーズに合わせて事業内容を変化させてきました。現在もその姿勢は変わっておらず、常に変革を追求しています。私が担当する業務も日々新しい課題の連続です。そのため、これまでの経験を掛け合わせ、総合力を持って対応していくことが欠かせません。楽をしようと思えば、前例踏襲でなんとかなることもあるかもしれませんが、当行には、『今まで通りでいいじゃないか』と考える人は一人もいません。『本当にそれでいいのか、もっと他にできることはないか』と常に本質を考えている人ばかりです。そうした先輩方の姿勢を目の当たりにしてきたことが、私のモットーの礎になりました」
現在栗山さんは、第一子の出産を控えながら仕事に取り組む。ライフステージが変化しても安心して働ける環境もDBJの長所だと語る。
「当行でできるだけ長く働き続けたいと思っています。年次が上がっていく中で、後輩も増えてきました。私もこれから多くの経験を積み、引き出しをたくさん増やして仕事の幅を広げ、後輩たちの励みになるような存在になりたいですね」
※所属・肩書等は取材当時のものです。