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急速に進む高齢化社会で、医療制度の改革に取り組む

2024.06.10

遠藤 久夫 教授

Prof. ENDO Hisao

経済学部 研究知

専門:医療経済学

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公平かつ効率的な医療制度を目指して

 少子高齢化が進んでいる日本にとって、望ましい医療制度とは何かを経済学の視点から研究しています。医療は生きていくうえで欠かせないものでありながら、専門性が高く、患者が治療内容を十分に理解することができないという問題があります。そのため、政府が介入することで、医療の安全性や有効性、公平性、効率性を確保しています。中でも、公平性と効率性は、医療制度に大きく影響されます。そこで、医療制度の特徴を分析することで、制度の問題点を明らかにしつつ、政府の医療政策の評価を行うことを目的に設定しています。私はこれまで、30年近くにわたり、医療の価格を決める中央社会保険医療協議会や医療保険制度を設計する社会保障審議会医療保険部会などの審議会委員として、医療政策にかかわってきました。このように、研究で得られた知見をもとによりよい医療制度を作り、実際に社会に役立てることを重視しています。

少子高齢化が引き起こす新たな課題

 最近、関心を持って研究しているのが、「全世代型社会保障」についてです。医療保険料は所得に応じて増えるため、少子高齢化が進めば社会全体の医療費増加に伴って、現役世代の負担がますます大きくなってしまいます。医療保険制度を維持するため、医療費を世代間でどのように負担すべきか、高齢者の医療はどうあるべきかという課題に取り組んでいます。また近年、遺伝子組換え技術や細胞培養技術を駆使したバイオ医薬品が登場していますが、これは従来の低分子化合物の医薬品と比べて非常に優れた効果があるものの、価格も非常に高額になります。そうした医薬品を公的医療保険でどのように扱うべきなのかも研究課題です。皆さんも、「生命社会学Ⅰ・Ⅱ」で持続可能な医療制度について一緒に考えませんか。

PROFESSOR'S LIFE STORY

大学 まだ日本では学問分野として確立されていなかった医療経済学を専門とする先生と出会い、興味を持つ。
就職 民間医療保険を扱っていた生命保険会社に勤務するが、公的医療保険を研究しなくてはだめだと考え、大学院に進学。
研究の道へ 大学教員となり医療制度の研究に取り組む。大学時代の恩師等と共に医療経済学会を立ち上げ、3代目の学会長となる。
国の機関 中央社会保険医療協議会会長、社会保障審議会会長、国立社会保障・人口問題研究所所長などを務める。

※所属・肩書等は取材当時のものです。