史学科|雰囲気のよいゼミだから、成長できる
2019.06.05
佐藤 雄介 准教授、史学科3年
STUDENT'S VOICE
雰囲気のよいゼミだから、成長できる
T.Hさん
埼玉県・市立浦和高等学校 出身
佐藤雄介先生のゼミでは、学生たちがそれぞれ興味のある事柄についての先行研究を調べ、史料を読み、書き下し文、逐語訳を作成します。まだ難しさを感じるところもありますが、徐々に自分の力だけで史料を読めるようになってきました。わからない箇所があっても、先生は気さくに接してくださるので質問や相談がしやすく、これまでにたくさんのアドバイスをいただきました。また、学年関係なく学生同士仲がよく、院生の方との距離も近いなど、とてもアットホームな雰囲気のゼミです。卒業後は高校教員になることが夢なのですが、将来学芸員になったゼミの仲間に協力してもらい、生徒たちに本物の古文書などに触れさせてあげたいなと思っています。
ABOUT SEMINAR
側近が語る、孝明天皇の子どもが少なかった意外なワケとは?
史料から考える江戸時代末期の皇位継承問題
近年、皇位継承問題がよく話題にのぼります。歴史を振り返れば、実は江戸時代末期にも同様の問題が起きていました。江戸時代末期の有力な公家三条実万(さんじょう さねつむ)の興味深い文章が、ある史料に残されています。
孝明天皇は子が少なかったのですが、三条によれば、天皇の子を産むことを期待されていた女官らの年齢層が当時としては高く、女官に「然るべき人」が少ないという問題がありました。当時、皇室への出仕や天皇の子の出産などに際しては、女官の実家の公家側にも相応のお金がかかりました。そのため、公家は皇室から出仕の要請がくると最初は断ったとか。2回目の要請で「迷惑ながら」差し出しており、そうしたこともあり、「然るべき人」を中々選べないと史料に記されています。これらの事情は、当時の人が史料で語っていなければ、推測だけでは出てくることのない内容です。
古文書を読み解き歴史像を構築する
あるとき、友人が「歴史に興味をもたない人などいない」と語っていました。誰にでも好きなものがあり、それには必ず歴史があるからです。自分が住んでいる地域や旅行先の歴史に興味はありませんか? サッカーが好きなら「ジーコってどんな人物?」と過去のスターについて知りたくなりませんか? スタジアムがある町の歴史に関心を抱きませんか?
本ゼミでは、このような自分の興味関心に従って(もちろん、興味関心だけでは駄目で、歴史的意義を考える必要があります)、活字の史料を1〜2点選び、それについて①逐語訳(正確な現代語訳)、②語句や背景など、関連する基礎的な事実の調査、③史料から論点・疑問点を導き出す、という研究の基礎を行ってもらっています(2年生。3年生は自由研究報告です)。
どんな史料も書いた人のバイアスなどがかかり、必ずしも歴史的な事実が書かれているわけではありません。だからこそ、史料を正確に読み解くには、史料そのものの性格を批判的に考える(=史料批判する)力を養う必要があります。そして、それが史料というデータを正しく取り扱うことにつながるのです。
佐藤 雄介 准教授
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員PD、東京大学史料編纂所助教を経て、2018年度より現職。専門:日本近世史。
※所属・肩書等は取材当時のものです。