ドイツ語圏文化学科|批判と理解が織りなす活発な意見交換が生む新たな洞察力
2024.06.10
田丸 理砂 教授、ドイツ語圏文化学科4年
教員に聞く研究知
田丸 理砂 教授
[専門]近現代ドイツ文学
ドイツ語圏の多くの女性たちが文学や建築などの分野で活躍した1920~30年代は、ドイツの民主化と大衆化が発展した時代。おしゃれで仕事にも遊びにも一生懸命な新しい女性像が生まれましたが、当時の女性によって描かれた作品からは、メディアにおける華やかなイメージとは異なる現実の厳しさが伝わってきます。このように社会的な切り口から文学や芸術作品に光を当てると、私たちの価値観は自らの置かれた社会のあり方に影響を受けているのだと気づかされます。学生たちには研究を通して絶対的な価値観は存在しないことを知ってもらい、自らの譲れないものは何か、戦争や差別などの問題をどう解決すればよいのかを考え続けてほしいです。
学生に聞く統合知
H.Aさん
東京都・都立小松川高等学校 出身
本ゼミではワイマール時代のモダンガールや女性作家の作品などについて、毎回活発に議論を交わします。学びに対する熱量が大きいのは、田丸先生が常に「どんな意見も歓迎する」と伝えてくださるからこそ。事前に各自で資料を読み込む、グループワークで他者の見解を知る、先生によるフォローや問題提起を受けるというサイクルを繰り返すうちに、作品の描かれた時代背景をもとに考察する多角的な視点が養われました。また、4年間を通してジェンダーやその他の差別、社会の構造などについても関心を持ち、理解を深めてきました。就職後も、さまざまな他者の声に耳を傾け、寄り添った提案ができる人間でありたいと思っています。
専門分野を究める
文学・文化コースゼミナール
ドイツの文学や文化を、ジェンダーや階層、エスニシティ※の側面から考察。小説・評論、映画・写真などの素材を題材に、当時の時代的背景を踏まえながらグループワークを行います。
※血縁、共通の文化・言語・宗教などの背景を持つ社会集団
※所属・肩書等は取材当時のものです。