哲学科|換言と対話で難解な内容を再構築し、自分のものに
2025.06.12
陶久 明日香 教授、哲学科4年

教員に聞く研究知
陶久 明日香 教授
[専門]近現代ドイツ哲学
今年度の演習では、医学のあり方(ヤスパース)、死という現象(ハイデガー)、核爆弾の時代にどう生きるか(アンダース)について思索しています。哲学書には私たちが生きるうえで具体的にかかわる事柄が書かれているにも拘わらず、場合によってはそれが抽象的な言葉で説明されています。そのためドイツ語の原典を読むのは大変ですが、とはいえ厳密に読み込むと、私たちの日常を支えている何かが見えてきます。3年次以降はグループワークを行い、互いにコメントし合いながら論文を仕上げていきます。これらの学習を通して、学生たちには個々の哲学者の立場や主張を血肉化しつつ自ら考え、それを理論的に文章として構築できる力を身につけてほしいです。
学生に聞く統合知
A.Sさん
埼玉県・県立越ヶ谷高等学校 出身
陶久先生はしばしば「自分の言葉で言い換えて、周りの人に伝えてみること」をアドバイスされます。哲学書の内容は抽象的で、一般的な意味とは異なる用いられ方の単語も少なくありません。換言と対話を通じて、難解だと感じていた概念が自分の中で整理され、哲学者への深い理解につながります。更に卒業論文に取り組む中で、難しい内容をわかりやすく相手に伝える力が身につきました。このスキルは、卒業後に従事する営業職でも、製品の特徴や他社との違いをお客様に説明するうえで役立つと考えています。今の私の理想は、働きながらも哲学書を読み続けること。社会に出てからも先人の思索から学びを積み重ね、ゼミで育んだ思考力と伝達力を存分に活かしていきたいです。
専門分野を究める
哲学演習Ⅰ
ハイデガー、アンダース、ベンヤミンなど、ドイツ語圏の哲学者が研究対象です。原典に当たり、哲学者たちが実際に使っていた言語から、彼らの考えを正確に理解することを重視しています。
※所属・肩書等は取材当時のものです。