日本語日本文学科|言葉の捉え方次第で見える世界が変わることを体感
2024.02.26
中野 貴文 教授、日本語日本文学科4年
教員に聞く研究知
中野 貴文 教授
[専門]日本中世文学
日本の中世期は「自力救済」が基本の乱世でした。平和とは言えない時代だったからこそ生まれ、発展を遂げた文学があります。その中で私が研究の中心に据えているのは『徒然草』です。僧侶の失敗を中心とした笑い話など多岐にわたる内容や、作品の中で変化する文体の多様さは他に類を見ません。兼好はなぜこのような書記行為に及んだのか、作品のモデルとなったものは何だったのか。その答えを中世文学史の史的な動態の中から見出そうとしています。研究活動、そしてゼミの活動においてもベースとしているのは、"現代"を生きる私たちだからこそ見えてくるものがあるという考え方です。新しい発想に満ちた学生たちと対話を重ねながら古典文学の魅力に迫ります。
学生に聞く統合知
A.Yさん
東京都・学習院女子高等科 出身
幼い頃から物語を読むことが好きで文学研究に興味を持ちました。現在、研究対象としているのは、平安末期に成立した『今昔物語集』の巻二七です。巻二七は「霊鬼」と題された不可思議な怪異が出てくる説話集で、登場する表現やモチーフが持つ意味、物語の構造などについて研究しています。読み手によって解釈の異なる文学と向き合っていると、先が見えずに不安になることも。そんなときも、中野先生が指針を提案してくださり、自分で考えることの面白さを教えてくれました。また、自分なりの答えにたどり着く道のりが長かった分だけ、大きな喜びが得られることも本ゼミで体感。ここでの経験を土台に、大学院に進学して"読む力"を更に磨きたいと思っています。
専門分野を究める
日本文学演習
扱う対象は『徒然草』や『平家物語』、説話集といった日本中世期の古典文学。それぞれの作品が持つ文学的な性格に関する考察を中心に、学生主体の自由な研究テーマが展開されています。
※所属・肩書等は取材当時のものです。